妊娠が判明し、うれしい気持ちや不安な気持ち、時には困惑したり、戸惑うこともありますよね。
つわりは全く感じない人もいれば、日によって波があったりと個人差が非常に強く、嘔吐や食欲不振、倦怠感などが続くと仕事に行くこともおっくうになってしまうことがあります。
わりは病気じゃないなんて今でもいう人がいます。
そんなの言われなくたって自分が一番わかってるし、病気じゃなくても症状があることは事実!!
私自身は、嘔吐が続いたことと、検査に異常はないのになぜか腹痛が頻繁に起こったこと、長女を妊娠中に『切迫早産』で入院した過去から仕事への不安が増強し、メンタルダウンしてしまいました。家事も育児も完全放棄。家の中はカオスでした。
人それぞれの症状を、何とか乗り越えようとしているのに、他人にそんなこと言われるとほんとに腹が立ったし、悲しくなります。
何度も仕事を辞めたい…でも仕事をしないと収入がなくなってしまうし、貯金もない…。うれしい妊娠だったはずなのに、辛いことばかり・・・。
仕事を辞めなくても、やめられない。
もうダメ…やっぱり辞めちゃおうかな
そう思う時期が何度も来るかもしれません。
でも、仕事を辞めないことで得られるメリットもたくさんあります。体の声を聴きながら働き続ける選択肢もあることを知っておくと、少し気持ちが楽になるはず。
今回、次女の出産のときに『傷病手当金』を受けて休暇を取った経験から、制度の概要や条件、実際に受け取った金額などを紹介しています。
妊娠による体調不良で、仕事を続けるのか継続するのかを迷っている方の参考になればと思います。
働き続けるメリット・デメリット
妊娠や、その後の体調不良を理由に退職を考える方も多いと思いますが、正社員や社会保険・雇用保険に加入している方の場合、働き続ける選択肢に経済的なメリットが多くあります。
- 出産一時金(退職ママであっても、条件をクリアしていれば支給される)
- 育児休業給付金(最長2歳になる日の前日まで)
仕事を休んでいる間にも収入があることで、安心して生活することができますし、育休終了後に再び職場に戻ることが前提なので、キャリアをあきらめることなくスムーズに復帰することができます。
一方で、育休という限られた時間の中で、仕事復帰のタイミングや子供の入園のタイミング、待機児童の状態など、たくさんのことに気を配る必要もあることがデメリットとなります。
つらいときは心と体の状態を把握する
つわりや腹痛などの症状があると、心配事が一気に増えませんか?
『おなかの赤ちゃんはだ丈夫かな』
『休みたいけど、職場に迷惑かけちゃう』
『今日も家事や主婦業ができなかった』
などなど。
心配事が増えると、いつもの仕事でも何倍も疲労したり負担を感じることになります。自分の今の状況を客観的に捉え、いたわることができたらいいのですが、周りに迷惑をかけないようにと、いつも以上に努力を重ねたり、普段通りにできない自分を責めてしまうこともあります。
そんな気持ちを誰かに相談できていますか?
つらい気持ちを貯めこんで、気分まで沈んでしまってはたった数か月しかないマタニティーライフもあっという間に過ぎていってしまします。
自分が今、どのような体調の変化に困っているのか、どのような気持ちの変化で落ち込んでいるのかを相談する相手がいない時には、ぜひノートなどに書き出してみることをおすすめします。まずは今の自分の状態を客観的に把握してみましょう。
かかりつけの産科医、助産師さんに相談
かかりつけの産科医のドクターや助産師さん・看護師さんに、今の状況や仕事内容について相談してみてください。誰かに相談することで、気持ちを吐き出すことができますし、今の自分の状況を相手に伝えることができ、一人で背負う気持ちが少しかるくなります。
医療スタッフはそのような悩みや相談を受けることも多いので、しっかり聞き役に回ってくれて、アドバイスもしてくれます。
次女を妊娠中、体調や精神的にも辛くなって定期健診以外の日に受診しました。
産科の助産師さんに話をしていると、涙が止まらなくなったことがあります。
今考えると、前回の妊娠時の入院のことを思い出したり、入院した時の家族のこと(我が家はステップファミリーで、思春期の長女と主人の関係に悩んでいた時期)で、今回も入院になったらどうしよう…という過度の不安からストレスをため込んでいたのかもしれません。
健康保険被保険者なら傷病手当金を受けられる
傷病手当金とは、健康保険等の被保険者が、業務災害以外の理由による病気やケガの療養のために仕事を休んだ際、所得保障を行う制度です。
症状によっては休業を検討する
つわりの状態や体調不良などを相談し、医師が必要と判断した場合は、休業のための診断書を書いてもらうことができます。
重いつわりや、切迫早産などで医師より自宅安静の指示を受けた場合は『傷病手当金』の対象となりますので、収入の3分の2の傷病手当を受けながら療養することができます。
つわりの場合は個人差が大きく波もありますから、自分が仕事をすることが辛いと感じるのであれば、医師にはっきり『仕事が辛いので、少し休みたい』と伝えることも大切です。
傷病手当金の支給要件
傷病手当金の制度には、利用条件がいくつかあります。
① 業務災害以外の病気やケガの療養のために働くことができないこと
※業務又は通勤に起因する病気やケガは労災保険給付の対象となります。② 4日以上仕事を休んでいること
厚生労働省『生活を支えるための支援のご案内』
※療養のために連続して3日間仕事を休んだ後(待期期間)、4日目以降の仕事を休んだ日について支給されます。
※待期期間には有給休暇、土日祝等の公休日を含みます。
具体的に、妊婦に対しての記載はありませんが、つわりの程度が重たいときや、切迫早産である場合などは療養や入院加療が必要になることがあります。その場合には医師に診断書を書いてもらい休業が必要な胸を記載してもらいましょう。
傷病手当金の支給期間
上記要件を満たし、支給を始めた日から最長1年6か月の間であれば傷病手当金が支給されます。
体調が改善し、その後復帰したとしても、また症状が出ることがあります。この場合は復帰していた時期を除いて計算し、休業した期間がトータルで1年6か月以内となります。
傷病手当金の支給額計算
傷病手当金だけでなく、各種手当については、それぞれの計算方法があるので、一律でない事を知っておきましょう。
傷病手当金の計算方法は、
傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近12月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額
厚生労働省『生活を支えるための支援のご案内』
※支払われた給与の額が、傷病手当金の支給額を下回っている場合には、傷病手当金と支払われた給与の額の差額分が支給されます。
・・・わかりづらいですよね。
そもそも『標準報酬月額』が分からなかったのですが、毎月もらうお給料が、国が決めている標準の金額のどこのゾーンにいるかで決められる金額になります。
単純にもらっているお給料の平均ではないので、試算されるときは注意してくださいね。
傷病手当金はいつ支給されるの?
傷病手当金は、ご加入の健康保険によっても異なりますが、初回は審査が入るため休業してすぐには支払われないことに注意が必要です。
また、自宅療養などで療養した期間に対して支払われますので、休業してすぐに支払いの手続きができるわけではありません。早くても1か月~2か月かかることを前提にしておくとよいでしょう。
手続きや申請は会社が行うことがほとんどですが、診断書や、手当金申請書の病院への依頼や受け取りは休暇を取る本人が行う必要があります。
実際にいつ、どのくらい支給されたのか
が実際に傷病休暇を取った期間は
私が実際に傷病休暇を取った期間は
出産予定日から93日前~産休日に入る前日までの51日間です。
診断書は書いてもらったその日のうちに職場に提出。その後は自宅療養を続けたまま産休に入りました。傷病休暇期間は産前・産後休暇と被ることはできないため、51日でカウントされています。
申請から入金までの期間
筆者が給付金の申請手続きをしたのは、出産後です。出産した病院に傷病手当金の申請書類を依頼したり、数日後に受け取りに行ったりと、生後1か月のベビーを連れまわしてバタバタと動きました。入金を確認したのは申請手続きから約2か月後でした。
一般的には、職場が申請書類を取りまとめるため、必要書類を提出してから管轄のハローワークに行くタイミングは職場の担当者次第です。傷病手当金の入金までには数か月かかることを知っておくと心の準備ができます。
いくら振り込まれたのか
実際に振り込まれた傷病手当金の通知です。
51日間お休みをいただいて264,537円。
計算方法は上記に記載していますが、これを日給換算すると5,187円になります。普通に働くよりはもちろん少なくなってしまいますが、仕事を辞めずに毎日5,000円程度の手当を支給してくれるなんて私にはとてもありがたい事でした。
他にもある妊婦のための制度
働かれている環境によっては、休みを取ることや、周囲の協力が得られにくいこともありますよね。
顧客を抱えている方や、大事なプロジェクトに関わっていたり、人手不足でシフトが希望通りに組めない方もいらっしゃると思います。
残念ながら、職場の規約があってないような会社も存在します。自分と赤ちゃんのために自分を守る必要があっても、自分一人では解決できない時には『母性健康管理指導事項連絡カード』を医師に記入してもらう方法もあります。
『母性健康管理指導事項連絡カード』を利用しよう
通称『母健連絡カード』は、医師が指導した内容について記載し、会社に提出することで、職場が記載内容に応じた対応を講じるためのカードです。
通勤時間帯の変更や仕事内容の変更など、職場へ迷惑をかけると考えてしまい、後ろめたさを感じる人も多くいます。なかなか自分で説明できないときや、言いにくいときなどに使用することで医師からの指導であることを示すことができます。
『母子健康管理指導事項連絡カード』は、母子手帳の一番後ろにあります。
(記載のない場合はこちらでダウンロード可能です。)
このカードは妊産婦の方のためのカードですので、出産後も使用することができます。妊娠期間中に使用しなくても、産後に必要になることも考えられるので、活用できることを覚えておいてください。
体を第一に、健やかに過ごせることを優先しよう
職種や仕事内容によっては、切迫早産リスクが高くなることもありますし、一人目と二人目でつわりの症状が全く異なることもあります。そして気分の落ち込みから、精神的な負担を負うこともあります。
でもそれは、自分や赤ちゃんがの望んだことではありません。その時々の体の変化を受け入れて、ぜひ周りの協力を求めてください。
自分が少しでも穏やかに・健やかに過ごせる方法を優先して、仕事の継続か退職かを考えてみてください。