介護の仕事に興味があったり、就職や転職を考えている方の中には、『種類が多すぎて、資格の概要や取得方法がよくわからない。』という人もいるのではないでしょうか。
一言で介護系の職業と言っても職業や資格の種類、なるためのルートが多岐にわたります。
この記事では、介護業界の主要職業9つをピックアップし、仕事内容や最短ルートでなる方法を紹介しています。
今後の目標を立てる参考にしてください。
介護系職業にはたくさんの種類がある
介護の種類の特徴として、民間資格、国家資格など、介護にまつわる職業や資格の種類は多く、ここで紹介する9つ以外にもたくさん存在します。
介護は医療や地域社会とも密接にかかわるため、広範囲な知識が求められたり、社会福祉や医療の分野、そのほかの介護資格と業務内容が重複する部分もあります。
メリットとしては、資格を活かして別の介護系の仕事もしやすいということが挙げられます。
例えば、実務者研修の資格を取得し、施設だけでなく訪問介護の経験も積んでいることを活かして、自宅で生活するために必要な福祉用具を紹介できる『福祉用具専門相談員』を目指すのも一つの方法です。
資格や職業の内容・特徴をつかんで、目標を決めることの大切さ
たくさんの種類がありすぎて、それぞれの資格の内容や特徴をあまり理解できていない方もいるのではないでしょうか。
新たな分野に挑戦したり、スキルアップを考えている時には、目標設定をしておくことが大切です。
目標を決めておくことで、不要な時間や費用を費やすことなく、最短での取得を目指すことができるからです。
社会人や主婦からの挑戦では、時間も費用も限られていますよね。
『時短・効率』は必須ワードです!!
介護事務
仕事内容とは
介護サービスを提供する施設や事業所などの現場で、『事務』を担います。一般的企業の事務と異なる内容として、介護事務には介護保険に関する深い知識が必要になるということ。
業務の中でも、一番重要な仕事は『介護報酬請求』手続き。介護サービスを提供し、その報酬を国や利用者さんに請求する業務です。施設や事業所にとって経営上最も大切な業務となります。
最短で介護事務になるには
介護事務になるために必ず取得すべき資格はありません。なので、求人に応募し、採用されれば介護事務として働くことができます。
しかし事業所などでは、複雑な介護保険に関する知識や、介護事務経験のある人を即戦力として採用する傾向があるのも事実です。
介護保険の内容を理解するためには一定の勉強量が必要ですし、制度の改正などにも柔軟に対応していく力が求められます。
民間資格もいくつか存在しているので、理解を深めて即戦力として働きたい方は資格の取得をおすすめします。
- 通学講座利用で 3日~
- 通信講座利用で 1か月~
- 費用は40,000円~70,000円前後
- 講座によって教育訓練給付金制度対象になっていることあり
介護職員
仕事内容とは
介護職員は主に高齢者や障がいのある方の身体介護や生活援助を行います。
仕事内容は多岐にわたり、車いすやベッド間の移乗動作やおむつ交換、体位変換、入浴介助や清拭などの保清介助、食事を一人で取れない方や準備ができない方などの食事介助といった内容から、施設やデイサービスでのレクリエーションへの参加をサポートするなど、日常生活をその人らしく送るために必要な介護を提供します。
ただし、無資格の場合は訪問看護を行うことは出来ません。
最短で介護職員になるには
介護に関わる資格にはいくつか種類があり、介護業界の入り口として資格がなくても施設での業務ができることがポイントです。
介護業界は人材不足の問題もあり、未経験や無資格でもOKの求人も豊富です。就職後に資格を取る方も多い為、自分に介護が向いているか不安な方も実際に働いてみてからスキルアップを検討することが可能です。
- 施設での介護業務の場合、資格がなくても介護職員になることができる。
- 費用の目安 0円~
- 就職後にスキルアップが可能。
- 実務経験3年+実務者研修の受講で、国家試験である『介護福祉士』の受験資格を取得できる。
介護職員初任者研修
仕事内容とは
介護職員初任者研修は、以前のホームヘルパー2級と同等程度の内容となっています。(初任者研修では実技の時間が増え、終了後には試験が行われます。)
仕事内容は上記の介護職員とほぼ変わりませんが、この研修を修了し、終了証の発行をうけた介護職員は訪問看護での介護業務に従事することができるようになります。
最短で介護職員初任者研修を取得するには
介護職員初任者研修は130時間の座学と技術の研修を受け、最終的な試験を受けることで終了証が発行されます。
これから介護業界への就職や転職を考えてる方や、無資格で施設などに就職後に研修を受ける人に向けた、介護の基礎的な知識や技術を習得するための研修ですので、年齢や性別、学歴や国籍なども関係なく受講することができます。
通学講座だけでなく、通信講座での受講も可能なので、それぞれの生活に合った学習方法で勉強することができます。(ただし、技術についてはスクーリングが必要)
- スクールの場合 3日~
- 通信講座の場合 1か月~
(ただし、技術研修はスクーリングが必要) - 費用 40,000円~70,000円前後
- 講座によって教育訓練給付金制度対象になっていることあり
実務者研修
仕事内容とは
仕事内容は、初任者研修までの業務内容にプラスして
- 喀痰吸引
- 経管栄養
の業務ができるようになります。これらは介護士としての業務の幅を増やすことになりますし、転職の際にもアピールすることができるようになります。
施設によっては資格手当の対象になるので、可能であれば取得を目指しましょう。
最短で実務者研修を取得するには
実務者研修は、初任者研修よりもワンランク上の資格になります。
この研修を受けて終了証の発行を受けることで、国家資格の『介護福祉士』試験の受験資格の一部を満たすことになります。
- 初任者研修取得者は、自宅学習+スクーリングで学んで320時間・約2か月
- 未経験や無資格からは450時間・約6か月
- 費用 100,000円~
現在保有している介護系資格の種類によって免除期間や受講コースが異なる。
講座によっては教育訓練給付金制度の対象
介護福祉士
仕事内容とは
介護福祉士の仕事は、実務者研修レベルの業務内容と同じですが、国家資格と言うこともあり、
- 施設や事業所などでは中心的な役割
を任されることもあります。
様々な介護職員と連携を取りながら介護業務を行ったり、医師や看護師等の医療従事者と連携の元、喀痰吸引や経管栄養を実施、実施計画書や報告書を作成・提出する業務も含まれます。
最短で介護福祉士になるには
介護福祉士の資格は『国家資格』となるため、初任者研修や実務者研修に比べて受験資格が厳しくなっています。
特に実務経験は3年以上必要です。
- 対象となる施設(事業)及び職種での従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上
- 介護職員実務者研修の終了
上記のどちらも満たして介護福祉士の国家試験に合格する。取得までの期間は3年~
- スクールの場合 30,000円~200,000円
- 通信講座の場合 60,000円~
講座によっては教育訓練給付金制度の対象
資格取得に時間のかかる資格ですが、どこへ行っても通用する資格ですので、転職の際にもアピールできます。
手当支給の対象であるこも多い資格です。
認定介護福祉士
仕事内容とは
認定介護福祉士は民間資格ですが、介護福祉士よりも上位の位置づけとなる資格です。
2015年に開始されたため、まだあまり認知度は高くありませんが、介護福祉士として経験を積んでさらなるステップアップを目指す人にとっては、目指すべき介護分野の最上位資格。
- 現場のマネジメントや育成に取り組む
- 多職種との連携
- 地域の介護力向上
といった役割を担います。
最短で認定介護福祉士になるには
認定介護福祉士になるためには、『認定介護福祉士養成研修』の受講が必要となります。また、受講資格の実務経験も、介護福祉士が3年であるのに対して認定介護福祉士は介護福祉士としての業務を5年以上と定めています。
- 介護福祉士として5年以上の実務経験がある
- 介護職員を対象とした現任研修の受講が100時間以上ある
- 研修実施団体の課すレポート課題か受講試験一定水準以上の成績を収めている。
- 介護職リーダー経験や、居宅(施設)双方の生活支援の経験があることが望ましい。(絶対条件ではない)
これらを(Ⅰ類と定め)条件を満たし、以下(Ⅱ類)を満たす必要があります。
- Ⅰ類を修了している
- 介護職の小チームのリーダー経験がある
期間や日数は実施団体にもよるが、カリキュラムは600時間。すべて終了するまでに1年半程度必要。
費用の目安は60万円。
びっくりして思わず二度見しました。
他の試験に比べて時間も費用もかかるんですね。
費用は、条件を満たせば大幅免除を受けたり、地域によっては補助金を利用することもできるようです。
施設や事業者が負担してくれる場合もあるかもしれませんので、相談してみるのも一つの手です。
ケアマネージャー
仕事内容とは
ケアマネージャーは介護支援専門員として介護を必要とする人が介護度に合った介護保険サービスを受けられるように
- ケアプラン(計画書)の作成
- サービス事業者や行政、施設との調整
を行います。利用者さんの相談や心配事などに耳を傾け、その人に合ったサービスが提供できるようにプランを考え、面談や担当者会議を行います。
その他生活保護申請の補助や家族間調整、地域活動の促しなどケアマネの仕事は幅広く、高齢者の生活を支えるやりがいのある仕事です。
働く場所は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、特別養護老人ホームなどがあります。
最短でケアマネージャーになるには
ケアマネになるためには、介護支援専門員実務研修試験に合格する必要がありますが、その受験資格として『医療・福祉系の国家資格を持ち、実務経験が5年以上(かつ900日以上)』などの経験が必要となります。
受験資格を満たしている場合には独学やスクール、通信講座での勉強を行い、試験に挑みます。指定研修などはありません。
- 医療・福祉系の資格を持ち、実務経験が5年以上(かつ900日以上)あれば受験資格あり。
- 介護支援専門員実務者研修試験に合格する。5年~
- 指定の研修はなし
- スクールの場合 50,000円~200,000円
通信講座の場合 50,000円~
ソーシャルワーカー(介護相談員)
仕事内容とは
ソーシャルワーカーは、病気や障害、年齢に伴う老化などにより、日常生活に問題を抱えてる人やその家族=福祉ニーズを持っている人に対し、助言や支援を行います。
介護業界でのソーシャルワーカー(介護相談員)は支援が必要な本人に代わり、入退院の手続きや関係各所に対する手続きの代行、必要な連絡調整などを行うなど、相手の利益や権利を守りながら、自立支援の援助を行う仕事です。
最短でソーシャルワーカーになるには
ソーシャルワーカーの試験や資格はありませんが、基本的には、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を保有している人が採用条件となっています。
社会福祉士になるためには、福祉系の大学を卒業し、『社会福祉士』の国家資格を取得するルートが一般的です。すでに短大や一般大学を卒業している場合にには、実務経験や短期養成施設での知識や技能を習得することで受験資格を得ることができます。
- 福祉系の大学(4年制)で学び、国家資格を受験するストレートコースなら4年。
- そのほかの短大や一般大学を卒業している社会人や主婦の場合、決められた期間の実務経験と養成施設で学んだ後に国家資格に合格する。約4年~5年
- すでに現場で実務経験を4年以上している場合は養成施設で学んだ後に国家資格に合格する。4年半~
最短でも4年かかるのは少しハードルが高いですね。
確かに時間はかかりますが、高齢社会の日本ではソーシャルワーカーの必要性が高まっているのも事実。
各福祉施設や病院、学校、行政機関や民間企業まで働き方は様々です。
24時間学べる通信制の大学などもあるので、社会人や主婦からの挑戦でも仕事と両立しながら勉強をすることができます。
福祉用具専門相談員
仕事内容とは
車いすや特殊ベッド、歩行器や手すりなど、生活上で福祉用具が必要な人に対し、適切な選び方や使用方法を説明する、『福祉用具のプロフェッショナル』です。
- 選定相談…ケアマネージャーが作成した『ケアプラン』に沿って、ひとり一人にあった福祉用具の選定を行う
- 計画作成…相談内容に基づき、福祉用具の利用計画を立てる
- 適合・取扱説明…本人の使いやすさや、自宅に適合するように調整し、安全に使用するための取り扱い説明を実施
- 訪問確認…年2回モニタリングし、点検や状況確認を行う
などが主な業務内容となります。
また、福祉用具には貸し出しと販売があり、ポータブルトイレや入浴補助具などは販売の対象です。
利用者に本当に必要な福祉用具を選定し、介護度の変化など必要に応じて対応していく事が福祉用具専門相談員の腕の見せ所です。
最短で福祉用具専門相談員になるには
福祉用具専門相談員になるためには、医療や福祉系の資格を有しているか、各都道府県が指定する事業者による『福祉用具専門相談員指定講習』を50時間受講し、終了試験に合格する必要があります。
医療や福祉系の資格は(保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士)です。
福祉用具は、怪我や障害、年齢に伴う老化などがある状態で自宅などで生活する人にとってはなくてはならない道具です。
そのため、福祉用具について一定の知識を身につけて仕事をすることが求められます。
介護福祉士やその他の介護系資格に比べ、求人数は多くはありません。また、『福祉用具専門相談員指定講習』を受講していても、その他の条件として介護系の資格保有を求めている事業所もあります。
福祉用具関連の仕事を希望する際には初任者研修の資格は保有しておくことをおすすめします。
- 医療や福祉系の資格を保有している場合には新たな資格の取得は不要
- 未経験や必要資格がない場合は、『福祉用具専門相談員指定講習』を50時間受講し、修了試験をクリアする。約7日~
- 講習費用は50,000円程度